そこで重要になってくるのが「60歳 ハッピーリタイア論」なのです

そこで重要になってくるのが「60歳 ハッピーリタイア論」なのです

この方法だと、60歳時点で貯金分が3061万円、投資分が6928万円、合計で9988万円貯まります。貯金分の元手は3061万円ですが、投資分の元手は3%複利のおかげで3649万円。ですから、合わせて6710万円でほぼ1億円が達成できるのです。グラフからも、投資分が複利の効果で加速度的に増えていることがわかりますね。

公的年金制度は、加入履歴の未整備問題もあったことから、漠然とした不安感を抱いている人もいるかもしれません。しかし山崎さんは、「日本の公的年金は世間でイメージされているほど不安定な制度ではありません」と話します。
「よく、これからの日本では高齢化が進み、現役世代1人で高齢者2人を支えなくてはならないといった説もあります。しかし、長生きする人が増える未来においてもリタイア年齢が変わらないと考えるのはおかしな話です。今の60歳代~70歳代の人たちは昔に比べて元気であり、引退年齢もあがっていくはずです。現在まで、ざっくりいうと20年で5歳くらいずつあがっていますから、2060年には75歳が定年になるかもしれません。そうなると、今の現役世代と現役を退いた高齢者(65歳以上)の比率と、40年後の現役世代と現役を退いた高齢者(75歳以上)の比率は変わらなくなるんです。そこまで心配する必要はないかもしれませんね」
皆が長生きする社会において、ある程度長く働くことはあたり前になるでしょう。その結果、「少子高齢化が今のペースで進んでいく程度では、日本の公的年金は破綻することなく維持される」と山崎さんは考えています。長寿社会では公的年金を終身受取できることが大きな魅力となるようです。むしろ、それより気になるのは、早期にリタイアした人の公的年金水準が低くなってしまうことだといいます。
「公的年金の目的は、働ける年齢のあいだは制度に加入して保険料を納付し、働けなくなったときには年金を支給して基本的な生活費を支えることです。しかし、早いタイミングでFIREする人は、まだ働ける年代でリタイアとなるため厚生年金保険料の納付がストップします(国民年金には加入)。このため、40歳代のFIREは、将来支給される厚生年金額が標準より大きく下がることを意識して老後に回す資産を多く見積もる必要があります」
40代やそれより前でFIREをするためには、精緻な計画やより高度なマネーリテラシーが求められます。引退後に運用もしながら、定期的に資産の取り崩しを行い、かつゼロにしないようにマネジメントしていく必要があるからです。そのため、これまでは資産形成、つまり「積み立て」ばかりが議論されてきましたが、近年では「取り崩し」や、認知症になり運用できなくなったらどうするかといった「健康リスクへの対処」などが注目されているといいます。

貯金だけで60歳時点に1億円貯めようとすると、22歳の新卒時の月収から毎月13万円、ボーナスの中から年30万円も貯金していく必要があります。つまり、新卒1年目から毎年年間186万円も貯金していかなければなりません。さらに、5年に一度、月収1万円・ボーナス10万円ずつ増額していく必要があります。

誰もが不安な老後のお金。不安を解消するのに一番大切なのは、やみくもに貯金することではなく、まず自分が何歳までにいくら必要かを知ること。目標を設定して、「収入を増やす」「支出を減らす」「長期分散投資」の3つのアプローチから「やるべきこと」を決めれば、あとはそれを淡々と実行するだけ。そうすれば、今やりたいことを犠牲にしなくても、「60歳で金融資産1億円」が自ずと可能になる。20代、30代にこそ始めてほしい、教養としての資産づくり入門。

山崎さんは、さらに続けます。
「FIREには、『Financial Independence(経済的独立)』と『Retire Early(早期リタイア)』というキーワードが含まれていて、私たちは早期リタイアの方を重視しがちです。しかし、私は、経済的独立にこそ価値があると考えます。例えば、不運にも会社が倒産したり健康を害してしまったり、もしくは大学院で学び直したいといった目的ができたりしたとき、FIREのために貯めてきた資産やマネーリテラシーがあれば行動がしやすくなります。結果として早期リタイアができなかったとしても、そのお金があったことで、経済的余裕や精神的安定を得ることができるでしょう。そう考えると、経済的独立は定年後ではなく現役時代にこそ必要だといえます」
三位一体の努力の結果、もし、定年から5年、10年前倒しの早期リタイアができれば、それはある意味で「自分へのご褒美」ということなのかもしれません。「FIREの価値は、早期リタイア以外のところにある」という山崎さんの言葉から、マネーリテラシーを高める本当の意味を考えてみてはいかがでしょうか。
・本コンテンツは一般的な情報提供を目的とするものであり、証券投資取引の推奨・勧誘を目的とするものではありません。
・iDeCo(個人型確定拠出年金)は、原則60歳まで途中のお引出、脱退はできません。運用商品はご自身でご選択いただきます。運用の結果によっては、損失が生じる可能性があります。加入から受取が終了するまでの間、所定の手数料がかかります。

この方法で貯金すると、60歳時点で月収からの貯金分が7680万円、ボーナスからの貯蓄分が2500万円、合計で1億180万円貯まる計算。もちろん、自分で用意する元手も1億180万円です。実家で生活している人ならまだ実現可能性はあるかもしれませんが、若い頃の負担がかなり大きくなります。それに、年を重ねてからも、給与が右肩で増えるならばいいのですが、そうとは限りません。現実的ではないことがわかるでしょう。

なお、これは同じ企業に60歳で退職するまでフルタイムの正社員として勤め続けた場合の生涯年収を想定しており、退職金や年金を含めていません。この数字を見ると、1億円という金額は年収の約半分を毎年貯めていく必要があることがわかります。

1億円と言う金額を見て、「自分には無理だ」と思う人も多いと思います。実際、新卒を22歳とすると、そこから60歳までコンスタントに貯金し続けるとしても、かなりの金額を貯金しないと1億円に到達しません。

今やりたいことを犠牲にしなくても、「60歳で金融資産1億円」が自ずと可能になる。20代、30代にこそ始めてほしい、教養としての資産づくり入門。

そこで重要になってくるのが「60歳 ハッピーリタイア論」なのです。あらかじめ周到な準備をしておき、「60歳でハッピーリタイア」することを実現させるのです。

いかがでしたか。今回は、60歳までに1億円を貯めるプランをご紹介しました。

また、将来の公的年金に関しては支給額や支給時期など、不確定要素があることは否定できません。加えて、長寿社会になれば高齢者の介護人口がさらに増え、社会的な費用負担も大きな問題となってきます。自ら設定する老後資金以上に資金が必要になる場合もあるため、可能であれば60歳以降も働き続け、多少でも収入を確保することも、今後の老後資金づくりのポイントとなるでしょう。

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