3回目は 遺産相続で1億円を手に入れた40歳独身男性の相談
資産となる住まいをしっかりと調べて探してみることも、1億円を貯めるひとつの道となるでしょう。
目指すは収支盤石な「安泰家計」、しかし現実は日々のやりくりに四苦八苦――。そんな「お困り家計」でも、プロから見れば打つ手はある。本コラムでは、実際にあった家計相談を基に、金融ITに強いMILIZEがシミュレーションを用いて改善に必要な金額を逆算。ファイナンシャルプランナー(FP)の前田晃介氏が具体的な改善策を提案する。3回目は、遺産相続で1億円を手に入れた40歳独身男性の相談。「仕事をやめて好きなゲームだけして生きていきたい」――。果たして望みはかなうのか。
1億円を現金で金庫に入れて使うというのは現実的ではなく、通常半分ぐらいは運用すると考えられる。
30歳位から、ひたすら貯蓄に励めば、独身のサラリーマンでもなんとか1億円は貯められそうと分かっても、60歳以降の人生に最大の楽しみを見出している場合は別ですが、それだけの人生はつまらないと感じるかもしれません。
夫婦で働くことが一般的になりつつありますが、それでは生涯単身で過ごす場合は1億円貯めるのは難しいのでしょうか。確かに単身であっても生活費は1/2で済むわけではありません。教育費は不要ですが、家賃や光熱費はあまり差は出ません。また年を取ったときに家族がいませんので、介護等はすべてお金で解決しなければなりません。
1億円はどうやって貯める?
貯金が1億円あれば、3%で運用したと仮定すると、そこからの年収は300万円になります。300万円では贅沢はできませんが、生活できない金額ではありません。言い換えれば、1億円のストックがあれば、働かなくても毎年300万円をゲットし、生活ができるのです。富裕層の人はよく、「お金に働いてもらう」という表現をします。まさに、このようなことを指しています。
「それで1億円を元手に増やしてみようと、スマートフォン(スマホ)の広告に出ていたFX(外国為替証拠金取引)や仮想通貨に投資してみたんですよ。最初、100万円ももうかったんで『これならいけるかも?』と投資額を増やしたら、あっという間に1000万円の損失が出ちゃいまして」。なるほど、すでに1000万円の損失ですか……(この時点で少し頭が痛くなりました)。
富裕層向けのマーケティングでは、資産額1億円以上を富裕層と定義しており、年収はあまり考慮に入れていません。その理由は、働かずに遊んで暮らせる金額が1億円以上だからです。よく雑誌などで、「目指せ資産1億円」などとタイトルが付けられていますが、これにはちゃんとした意味があったのです。
だって、私の周りには、40代で貯蓄が1億円以上ある人は、普通にいます。20代、切り詰めなくても、です。彼らに共通するのは、20代のときに、貯金より経験やノウハウを得ることを優先していたということ。
1億円貯める過程を考えると、家賃の支出は大きなネックです。「持ち家か賃貸か」の問題は過去何回もメディアで話題になってきました。それぞれの支出金額の違いは、意外にもほぼないのです。
そこで単身者のケースで1億円貯蓄可能かを検証してみましょう。下図は男性サラリーマンの平均給与から手取り収入の概算を算定し、支出を差し引いて貯蓄額の推移を算出したものです。30歳現在の貯蓄高は200万円で設定しています。住宅ローンは月12万返済とし、その他の支出は月々10万円としています。旅行や大型家電製品などもここから支出します。退職金は1,500万円とし、30年後の住まいの資産価値を2,800万円としています。あくまでも自分で検証するための見本ですので、それぞれ自分の収入や支出に当てはめてチェックしてみてください。運用益は考慮していませんが、実際は預貯金だけでなく、一定範囲を投資に回して運用した方がよいでしょう。
本記事では、「1億円あったら何年暮らせるか?」をテーマに投資商品別のシミュレーションを解説します。