40代夫婦 貯金なし
さらに、年収別で見てみると、年収1,200万円以上と回答した20人中5人は貯金ゼロでした。つまり、貯金ができる・できないは年齢や年収に関係なく、重要なのは「貯金をするぞ!」と、強く思えるかどうかなのです。
年間のボーナス80万円、それにプラスして手取り額の15%=毎月6万円を貯金できれば、80万円+72万円となるので、「1年で150万円」の貯金は可能でしょう。2年あれば、最低限の生活費1年分くらいにはなるはずです。
しかし、20代後半になれば、収入も多少はアップし、ボーナスで大きな額が入ってくるようになる人も多いので、そういった場合は貯金しやすくなってきます。
文部科学省が平成30年に発表した「子供の学習費調査の結果について」によると、私立中学に子どもが通った場合、1年間にかかる学習費用は140万6433円でした。公立高校に通った場合は、1年間に45万7380円、私立高校の場合は96万9911円です。中学校や高校は3年ですから、卒業までこの金額の3倍がかかります。つまり、私立中学・高校に通った場合は子ども1人あたり6年間で約700万円かかるのです。なお、この金額は「学校教育費・学校・給食費・学校外活動費」のみであり、制服代や文房具代などは含まれていません。中学や高校に入学する際は、制服や体操着を購入する必要がありますが、公正取引委員会が平成29年に発表した「公立中学校における制服の取引実態に関する調査報告書(概要)」によると、公立中学の制服代の平均は、男子が3万3000円、女子3万2000円です。これに靴代や体操着代などが加われば、5万円以上の出費になります。また、現在はタブレットやノートパソコンで授業をする中学・高校も増え、学校によってはその購入費も必要です。このほか、遠方の高校に入学すれば交通費もかかります。このようなことから、学資保険などで子どもの教育費だけは積み立てておいたとしても、想定以上にお金がかかることは、珍しくありません。さらに私立大学は学部によって大きく学費が異なります。子どもの希望する学部に通わせるためにも、貯蓄は必要です。
貯金がゼロの場合、収入と支出が過不足ゼロのケースと貯蓄をする習慣がないケースがあります。貯蓄は、支出に対して収入が支出を減らすか収入を増やせばできるようになります。貯蓄をする習慣がない場合は、その習慣をつけることが大切です。しかし、どこから始めてよいか分からない人もいるでしょう。次に、貯金ゼロから効率的に貯蓄をしていく方法を解説します。
20代の「金融資産非保有」の割合は39.0%でしたが、30代だと36.3%、40代・50代は共に35.7%です。年齢が上がっても、貯金がない人の割合は大きくは変わりません。
「貯金ゼロ」の割合は20代が43.2%、30代が31.1%、40代が35.5%、50代が41.0%、60代が29.4%。20代や30代は労働収入を原資に資産を形成する時間が十分残されているが、50代や60代は時間的に厳しいと言わざるを得ない。
「貯金ゼロ」の人は、なぜなかなか貯金ができないのでしょうか。もちろん人によって、いろいろな理由が考えられますが、ここでは、貯金ができない理由としてよくあるものを挙げてみます。自分自身にあてはまるものがないか、チェックしてみてください。
先ほど、「貯金ができる・できないは年齢や年収に関係ない」といいましたが、20代の貯金適齢期といわれるうちに貯金ができるようになっておくことは、その後の人生においても貯金を続けられる“貯めグセ”をつけることにもなるのです。
収入の一部を貯金に回す場合、生活費が余ったら貯金する方法では計画的にお金をためられません。先に毎月の貯金額を決め、残った分で生活する「先取り貯金」を取り入れましょう。
ちなみに、20代前半の1人暮らしでかかる家賃や光熱費の合計額は、一般的に6万~7万円です。実家暮らしであっても、家賃・光熱費はかかっているものと考えて、毎月6万~7万円を使わずに貯めると、1人暮らしを始めた際のお財布事情をシミュレーションできます。親に生活費を渡しているのであれば、6万~7万円からその金額を差し引いた分を貯金しましょう。
自動貯金アプリ「finbee(フィンビー)」もオススメです。「1日100円」「出社したら500円」など、独自のルールを設定するだけで、貯金用の口座に自動的にお金を移してくれます。貯金が苦手な人でも、ゲーム感覚で始めやすいでしょう。
「1日100円」なら、3日分まとめて300円貯金するということも簡単です。1カ月続いたら「1日500円」にステップアップするなど、徐々に目標を高めていくのがポイントです。この繰り返しで“貯めるクセ”をつけるのです。
40代が貯金する主な目的は、万が一災害や病気に見舞われたときへの備えや老後の生活資金・子どもの養育費です。退職後の資金計画を立てるためには、定年後の生活費と収入を概算する必要があります。
一方、貯金している人に限った金融資産保有額を見てみると、その額は大幅に上がります。20代の金融資産保有額の平均値は302万円、中央値でも100万円となっており、そのうち預貯金の平均金額は143万円です。それなりの額が貯まっている人もいることがわかります。
40代は子どもの中学や高校への進学、介護保険の支払い開始など家計への負担が増える時期です。貯蓄は少しでも多いに越したことはありません。これまで子どもの教育資金を優先させて貯金ゼロの家庭は、まず今後の教育費の見積もりと家計を見直し、少額でも毎月一定額の貯蓄をする習慣をつけましょう。また、少しでも効率よく資金を増やしたい場合は、iDeCo やつみたてNISAのような少額から始められる投資がおすすめです。教育費の見積もりと家計の見直しをしたら、これまで教育資金を優先での貯金ゼロから、老後資金の計画を立てて、できるだけ早いうちに実行しましょう。
貯金を実践するためには、目標設定が大切です。目標がないまま漠然と貯金を始めても、よほど貯金が得意な人でない限り、続けられないからです。
貯蓄も大切だが、できれば投資をしたいという方にはローリスク・ローリターンの長期投資がおすすめです。リスクが少なければ、貯蓄の変わりにもなるでしょう。つみたてNISAは、一定期間投資に対する利益が非課税になる制度です。長期の積み立て・分散投資に適した一定の対象商品へ1年間に最大40万円まで投資ができ、最長20年間非課税で保有可能です。一方、iDeCoは確定拠出年金法に基づく私的年金制度の一種です。加入対象者は国民年金をかけている自営業者や厚生年金の被保険者など幅広く、自分で投資先を選んで毎月投資をして増やしたお金を年金として受給できます。掛け金が所得控除の対象になるので、節税対策にもなるでしょう。iDeCoとつみたてNISAは併用が可能です。併用することで老後資金をより増やすことが可能ですが、それだけ資金が必要となりますので、子育てが終わって資金に余裕が出てきたら検討してみましょう。
これらのステップで“貯めるクセ”を少しずつ身につけていけば、短期的に貯金ができるだけでなく、長く貯金を続けていけるはずです。貯める喜びを感じられるようになれれば、目標の100万円も達成できるでしょう。
急な病気やケガで入院したり手術を受けたりすることになれば、精神的な不安もとても大きいものです。そんな時、貯金があればお金の心配は軽減されます。健康保険には高額療養費制度というものがあり、毎月の自己負担額が一定額以上になった場合、超過分の医療費を払い戻してもらうことができます。しかし、払い戻しまでは2ヵ月以上かかることもあるため、自分で立て替えられるだけの貯金があると安心です。