これも預貯金にしかないメリットといえる
「富裕層」と聞くと、お金持ちというイメージがありますが、実際にどういった方を富裕層と呼ぶのかご存じでしょうか。貯金がたくさんある、年収が数千万円、不動産などの資産を多く持っているなど、なんとなくイメージできるけれど、詳しくは分からないという方も少なくありません。
具体的に保有資産のうち、どの程度の割合を預貯金で保有しておくべきだろうか。一概にはいえないが、一般的には「預貯金は年齢と同じだけの割合」が目安とされることが多い。これは、年齢が若ければ若い方が投資期間を長く確保できるし、たとえ損失を出しても収入でカバーできる可能性があるためだ。
「貯金」は現金や預貯金を指しますが、「貯蓄」には投資信託・株式・債券といった資産運用も含まれます。5,000万円をより現実的に貯めるには、貯金と貯蓄をバランスよく行うことがカギとなります。たとえば、30年以内に5,000万円分の資産を形成することを想定してみましょう。現金・預金を30年積み立てる場合は、1か月あたり13万8,000円ずつ貯金する必要がありますが、月々13万円も貯金に回すのは困難です。5,000万円を貯めるには、貯金だけではなく、利回りの高い貯蓄(資産運用)を組み合わせることが重要です。仮に、月額3万円を投資(利率3%)に回した場合のシミュレーションをしてみます。30年間運用すると、元金は1,080万円、運用収益は668万2,107円となり、合計は1,748万2,107円になります。投資には元本割れを起こしたり利回りがマイナスになったりといったリスクもあります。いつでも3%の複利を期待できるわけではないものの、積み立てるほど利息は大きくなり、現金で貯め続けるよりも少ない金額で5,000万円を達成できる可能性が高まります。投資信託や株式・債券で資産を増やす方法のほかに、保険で貯蓄をするという方法もあります。生命保険は、「掛け捨て型」と「貯蓄型」に大きく分けられます。掛け捨て型の保険料は解約しても戻ってきませんが、貯蓄型は、満期時や解約時に満期金・解約返戻金が支払われる保険です。貯蓄型のメリットは、貯蓄と同時に保障も備えられるということです。
世の中には年収が1000万円以上もありながら、貯金がほとんどなく、常に自転車操業という人が少なくありません。まさにフロー重視型の典型といえます。お金をいくら稼いでいても、その分だけ使ってしまっては、いつまでも働き続けなければいけない悪循環から逃れられません。
また、銀行や郵貯の普通預金は、クレジットカードや公共料金の引き落とし口座として利用できる。これも預貯金にしかないメリットといえる。
純金融資産とは、預貯金や株式、債券や生命保険などの金融資産から、負債を差し引いたものです。例えば、総資産が1億円だったとしても、負債が100万円あれば富裕層には区分されません。
もし、この人にストックを増やすという感覚があれば、多くのお金を貯金して、それを運用に回していたでしょう。老後を迎える頃には、運用資金だけで余裕ある生活ができるようになっていたかもしれません。残念ながら、ストック中心に考えるというお金の教養がなかったがために、この人の生活はずっと「自転車操業」になってしまうわけです。
貯金・貯蓄を始めるにあたって重要なのは、いつまでにいくら貯めるのか決めておくことです。たとえば、30年かけて5,000万円を貯めるのであれば、1年あたり166万円程の貯蓄が必要であり、1か月およそ13万8,000円を貯め続ける必要があります。このように、期限とゴールを決めることで、どれくらい支出を抑え、いくら貯金に回せばいいのか明確になります。もし子供がいて教育資金が必要であれば、教育方針に沿った資金計画が重要になります。子育て世代の場合、教育にお金がかかる期間に赤字の月が出るのは当然のことです。支出が増える時期に貯金・貯蓄額が落ちてしまうのは仕方がありません。だからこそ、本格的に教育費が発生する前に多めに貯めておくことで、支出が増えて家計を圧迫する時期をカバーすることが大切なのです。ゴールを定めるだけではなく、余裕のある時期に多く貯めて、余裕のない時期には切り詰めるといったライフステージに応じた計画を立てましょう。
一方、必要な支払いを済ませても、まだ余裕がある場合には、多くの人は貯金していると思います。フローの中で消費に回らずに蓄積されたものを、ストックと呼びます。日々の生活の中で出入りしているお金がフロー。貯まったお金がストックです。フローは常に動いていますが、ストックは動きません。